『いくら背伸びをしてみても 相変わらず地球はじっくり回ってる。 今自分に出来ることを ひたすらに流されずにやってみよう。』 “少年” by ゆず
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Human Security & International Criminal Court
2006-06-02 Fri 02:07
今日はアムネスティ主催のシンポジウムに参加してきました。
テーマは「人間の安全保障と国際刑事裁判所の挑戦」とのこと。

書かないと忘れるので、書きます。
そしてせっかくなのでICCについても調べてみました。

本日の内容
1.国際刑事裁判所(International Criminal Court)について
2.今回のシンポジウムの詳細
3.雑感



1.ICCについて
【ICCとは?】
ICCとは1998年に採択された「国際刑事裁判所に関するローマ規定」に基づき設立された国際機関で、ジェノサイド、人道に対する罪、戦争犯罪を犯した個人を国際的に裁くための組織。
【ICC設立の意義】
①これまでの国際法廷がすべてad hocで、正当性、公平性への疑問があった(東京裁判やニュルンベルク裁判etc)のに対し、常設の法廷を設けることにより、国際法廷への信頼性が向上した。
②常設裁判所を設置することで、これまでより飛躍的多くの案件を扱うことが可能になった。
③裁判所が常設されたことで、国際犯罪への抑止効果が発生した。
【管轄権行使の前提条件(ICCが裁判を開くための必要条件)】
①当該犯罪の実行地国もしくは被疑者の本国のいずれかが上記のローマ規定の締約国であること。
②安全保障理事会が決議でICCに特定の案件に関する捜査を付託すること。
③犯罪行為地国または被疑者国籍国であるローマ規定非締約国が、ICCの管轄権を受諾する宣言を行った場合
【ICCへ提訴するための必要条件】
①締約国がICCの検察官に事態を付託すること。
②安全保障理事会がICCの検察官に事態を付託すること。
③ICCの検察官が予審裁判部(検察官が申請した捜査の審査を行う組織)の許可を得て、捜査を開始すること。
【ICCが出来ること】
裁判の判決に基づき被告を拘禁刑(通常は30年以下、重度の犯罪は終身)、罰金刑、財産または資産の没収を行うことが出来る。刑の執行は、後者三つの刑の場合は犯罪行為地国、前者の場合は受け入れる意思をICCに表明した国が行う。
【その他】
現在139カ国が署名し、100カ国が批准している。
ちなみに日本は署名も批准もしていないが、2007年中には批准すると見られている。
United States、Israel、China、ZimbabweはICCに反発している。


2.今回のシンポジウムの詳細
今回のシンポジウムの詳細は以下の通り、①と③は特に面白みのあるものでもなかったので割愛。
①Human Securityに関する基礎知識のプレゼン
②ICCに関するプレゼン
③紛争後における司法再建の重要性
④パネルディスカッション

②ICCに関するプレゼン
ICCの説明と、現在ICCが行っている捜査についてのプレゼンがメインでした。
【ICCの説明】
上記参照
【現在ICCが行っている捜査】
a.Democratic Peoples Republic of Congo
これまでに地下資源(ダイヤモンドなどの希少鉱物がメイン)をめぐる民兵組織、国軍の戦闘や襲撃によって300万人もの犠牲者が出たと言われている。人道に対する罪と、戦争犯罪(具体的には子ども兵、性的暴力、奴隷化etc)の容疑で現在捜査中。既に逮捕者が一人出ている。ただ案件があまりにも多すぎて捜査が困難であると言われている。
b.Uganda
国内避難民の原因のひとつとなっている「神の抵抗軍」の幹部メンバー5人に対して、人道に対する罪と、戦争犯罪(具体的には誘拐、文民の殺害、子ども兵、性的暴力、奴隷化etc)の容疑で現在逮捕状が出ている。Ugandaはローマ規約締約国で、今回はUganda大統領がICCへ案件を付託した。
c.Sudan
Sudanは反発しているが、安全保障理事会がICCに案件を付託したため現在ダルフールにおける案件(具体的にはジェノサイドetc)について捜査を行っている。

④パネルディスカッション
司会の方があまり上手くなくて正直微妙でした。ただ考えさせられたことが数点あったので残しておきます。
【Iraqでの案件をICCは扱えるのか否か?】
  結論から言うと、安保理がICCに付託すれば可能とのことでした。まぁ100%有り得ませんがね(笑)ICCの検討段階では、上記した管轄権行使の前提条件を設けず、世界のどこで起きた事件も基本的にICCで扱えるようにしようとの意見もあったらしいのですが、最終的にUSの反対でオジャンになってしまったらしいです。個人的には、アメリカのアブグレイブ収容所やグアンタナモ収容所での犯罪行為を認めてしまうと、またしてもダブル・スタンダードになり、ICCへの信頼性を損なってしまうと思うんですが。。。ま、もう決まってるんだから仕方ないのでしょうけれども複雑な気分です。
【絶対的善が絶対的悪を裁くというICCの方法で果たして公正な裁きが可能なのか?和解という手段で問題を解決することはできないのか?】
  前者の問いについては個人的にあまり意味がないなー、と感じました。俺は善悪なんて相対的な概念で、この世には絶対的善も絶対的悪も存在しないと思ってるので。だから公正な裁きなんてどこにも存在し得ないんですよね。重要なのはその裁きでどれだけ多くの人が納得するかということであって、公正さは問題にするべきではないと思います。(公正さを追求すること自体が無意味とまでは言いませんが)
  後者の問いについては興味深い回答がなされました。回答者の方によると、和解ではなく裁きという手段を取る理由は3つあるとのことです。1つ目の理由は、正義を示すことによって秩序を維持する必要性があること。2つ目は真実が明らかにされ、再発防止策(抽象的なレベルであっても)を検討する必要があること。3つ目は被害者への賠償の必要性ということ。特に3つ目の理由の説明の中で“Satisfaction”という単語が使われたのが非常に興味深かったです。単に物質的な賠償(賠償金etc)だけではなく、精神的な賠償が必要であると。被害者は加害者が裁かれることによって一定の満足感を得ることができ、そのことが復讐の連鎖の発生を食い止める、と。そして彼は最後にこのように答えて回答を結びました。
Reconciliation can solve problems. However, it cannot be forced
『和解は問題を解決しうるが、決してそれを強制することはできない』
…日本人として色々と考えさせられました。
【Human SecurityとICC】
  『Human SecurityもICCもこれまでの国際社会のあり方と根本的に異なるものであり、Human Securityの方法論としてのICCという考え方をすると、Global GovernanceへのChallengeとして両者を捉えることが可能である』と東大の教授が言ってました。
  これまでGlobal Governanceについてあまり考えたことがなかったので、ハッとさせられました。

3.雑感
  全体的な印象としては、ICCについて知識のない自分にとっては良い機会でしたが、Human Securityを確保するためにICCに求められる役割とは何か?などといった今回のシンポジウムの本質的な部分に対する議論は不十分であったように感じました。
  これまで開発や安全保障の視点からHuman Securityという概念について考えることが多かったのですが、今回は司法という新しい視点からHuman Securityについて考えることができて非常に有意義であったと思います。それに加えて東大の教授が最後に付け加えていたことが印象に残りました。
  『Human Securityは主体が個人個人であるのに、それに国家が積極的にコミットすること自体がおかしい。国家の利害にとらわれないHuman Securityを実現するためには非国家主体がHuman Securityの確保のためにもっと積極的にイニシアチブを発揮するべきである。』

…うーん、難しいですねぇ。

しっかしHuman Securityって一体何なんでしょうねぇ?
わからん(苦笑)
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この記事のコメント
すみすさん、はじめまして。

ICCはたしかに、補完性の原則に従って国家が犯罪を訴追できない、あるいはその意志がないと見られた場合にのみ管轄権を行使します。つまり「国家の後ろ盾」(承諾)があって始めて正統性を持ちうるものであるのは事実です。しかし一方で、ICCの力は何も“ICC自体”が行使するものに限られるわけでもありません。

ICCがこの補完性の原則によって世界に広めようとしているのは、「普遍的管轄権」の概念です。これは、ジェノサイドや人道に対する罪について、たとえジェノサイド条約に批准していない国であっても、ICCに加盟する、またはICCに管轄権を行使させないための抑止力として国内法整備を行って自らでこれらを裁く意志と機能を持たせることを意味します。つまり、ICC自らが力を行使する条件が揃わなくとも、国家自らがそれらの犯罪を裁く意志と機能を持てば、それでICCシステムは機能しているといえるのです。

ICCは、「国家の司法機能の補完物」であると同時に、国際法秩序構築の先導・伝播者という役割も持っているということです。それが、ICCの持つもう一つの見えざる力なのです。
2006-06-05 Mon 12:14 | URL | JNICC勝見 #-[ 内容変更] | top↑
通りすがりで一筆。

ICCを通じて国際社会が個人あるいは組織犯罪を裁くツールを手に入れたという観点はHSを考える上で重要なものだと思います。ICCが扱うのはHSが破綻した後の状況であり、事後的な関与が前提となります。ICCの実効性がどこまで個人や組織に対する抑止となりうるのか、というところが今後の検討項目になると思われます。

ただ既存のglobal governanceに対するチャレンジというのは言いすぎだと思います。ICCが受け持つのが【和解】ではなく【裁き】であるということはあくまでICCが振るう力は国家の後ろ盾があって始めて正統性を持ちうるものだ、という視点をわすれるべきでないと思います。そういう意味で国家の司法機能の補完物であるという事実を直視せざるを得ません。

HSとICCを結びつけて捉えるには、GGとHSの中身を機能的に分析するという下積みの作業がまだまだ国際社会には必要なんだと思います。

2006-06-03 Sat 01:47 | URL | すみす #-[ 内容変更] | top↑
≫JNICC勝見 さん
コメント、TBありがとうございました。
JNICCの方にコメントを頂けて光栄です。
日本のローマ規程批准に向けて頑張って下さい。
自分もICCに対して問題意識を持ち続けていたいと考えています。

>これだけの情報量で感想をその日にアップするとは・・・脱帽です。
いえいえ、ただの暇人なんですよ、学生なので(苦笑)
2006-06-02 Fri 20:05 | URL | tarou@管理人 #-[ 内容変更] | top↑
はじめまして。本日TBさせていただいた者です。

私も昨晩のアムスネティ・シンポに参加していました。
私がまだメモの清書化すらできていないところで、これだけの情報量で感想をその日にアップするとは・・・脱帽です。十分シンポの内容がわかるものだったのでTBさせて頂きました。

私も全体的な印象として、H.S.実現のためのICCに求められる役割についての議論は不十分であったように感じました。しかしスピーカーたちが図らずながらも明らかにしたように、まだ相互間の理解が足りない部分もあり、懐疑的な面も残っている段階で、全面的に協働するために何が必要かという考え方は、まだ生成すらされていないのではないのか、という印象も持ちました。つまり、HSとICCの融合はまだまだ生まれたばかりの着想で、相互に補う点についてもハッキリしてないうちは、相互にどのような役割を求めてよいのかすら、よくわかっていないのではないしょうか。いずれにせよ、HSとICCの協働のポテンシャルを垣間見ることができただけでも、私にとっては価値ある対談でした。
2006-06-02 Fri 12:12 | URL | JNICC勝見 #-[ 内容変更] | top↑
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2006-06-02 Fri 10:54 国際刑事裁判所(ICC)と日本
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